第1章 全体像

PAの全体像|信号の流れと、2つの構成

PAは、声や音を、会場のどこにいても聞き取れるように届けるしくみです。音源、ミキサー、パワーアンプ、スピーカーの順に信号が流れ、スピーカーの種類によって構成が2つに分かれます。

このページでわかること

  • PA(拡声)の目的と、このサイトで扱う範囲
  • 音源、ミキサー、パワーアンプ、スピーカーの役割と、信号が流れる順番
  • パッシブスピーカーとパワードスピーカーの違い

結論機材は「音源 → ミキサー → パワーアンプ → スピーカー」の順につなぎ、スピーカーにアンプが入っているかどうかで構成が変わります。

PAとは

PAは、英語のPublic Addressの頭文字で、大勢の人に声や音を届ける「拡声」を意味します。日本の現場では、マイクで拾った声や再生機器の音を、ミキサー、アンプ、スピーカーを使って会場に届けるしくみと、その運用をPAと呼ぶことが多いです。

PAの目的は、音を大きくすることではありません。会場のどこにいても、聞き取りやすい音を届けることです。大きすぎる音は聞く人の負担になり、小さすぎる音は伝わりません。そのため、機材の役割を知り、正しい順番でつなぎ、少しずつ調整することが基本になります。

信号の流れ

声や音楽は、電気の信号になって、機材の間を一方向に流れます。基本の並びは、音源、ミキサー、パワーアンプ、スピーカーです。

音源マイク・再生機器ミキサー混ぜて調整するパワーアンプ信号を大きくするスピーカー音にして届ける小さな信号を扱う大きな信号を扱う矢印は信号の向きです。電源を入れる順番も、この流れに沿います。
図1 PAの信号の流れ。左から右へ進みます。
  • 音源 マイク、再生機器、楽器など。声や音楽を、電気の信号にして送り出します。
  • ミキサー 複数の音源をまとめて受け取り、音量や音質を調整して混ぜます。
  • パワーアンプ ミキサーから出る小さな信号を、スピーカーを鳴らせる大きさにします。
  • スピーカー 電気の信号を、空気の振動、つまり音に戻して、会場に届けます。

つなぐときも、電源を入れるときも、この流れが基準になります。迷ったときは、「音源側(上流)から、スピーカー側(下流)へ」と考えると、順番を思い出せます。

信号の大きさは、場所によって違います。マイクが出す信号はとても小さく、ミキサーや再生機器の出力はそれより大きく、パワーアンプの出力はさらに大きくなります。この大きさの違いがあるため、つなぐ場所を間違えると事故につながります。

マイクレベルマイクが出す、とても小さな信号ラインレベルミキサーや再生機器の出力。マイクより大きいスピーカーレベルパワーアンプの出力。スピーカーを鳴らす大きさ小さい大きい具体的な数値は、機種や規格によって異なります。つなぎ間違えると、音が歪んだり、機器が壊れたりすることがあります。
図2 信号の大きさの段階。長いほど大きな信号です。

機材の間は、扱う信号の大きさに合ったケーブルでつなぎます。マイクからミキサー、ミキサーからパワーアンプまでは信号用のケーブル、パワーアンプからスピーカーまでは、大きな信号を流せるスピーカーケーブルを使います。

マイクミキサーパワーアンプパッシブスピーカーマイクケーブル小さな信号信号用ケーブル小さな信号スピーカーケーブル大きな信号電源が必要電源が必要電源なし
図3 機材の間をつなぐケーブルの種類。

2つの構成

スピーカーには、アンプを内蔵しない「パッシブスピーカー」と、アンプを内蔵した「パワードスピーカー」があります。パワードスピーカーは、アクティブスピーカーとも呼ばれます。どちらを使うかで、つなぐ機材が変わります。

構成A: パッシブスピーカー + パワーアンプ音源ミキサーパワーアンプパッシブスピーカースピーカーケーブル構成B: パワードスピーカー音源ミキサーパワードスピーカー(アンプ内蔵)別のパワーアンプは要りませんどちらも、信号は左から右へ進みます。
図4 スピーカーの2つの構成
項目構成A パッシブ + パワーアンプ構成B パワードスピーカー
別のパワーアンプ必要不要(内蔵)
スピーカーにつなぐものパワーアンプの出力(スピーカーケーブル)ミキサーなどの出力(シールド線など)
電源が必要な機器パワーアンプパワードスピーカー

見た目では、どちらか判断できないことがあります。電源ケーブルがあればパワード、背面にスピーカー用の端子だけがあればパッシブ、というのが目安です。詳しくはスピーカーのページで説明します。

要確認

入力端子の種類や、音量つまみの付き方は、機種により異なります。つなぐ前に、取扱説明書で確認してください。

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機材を1つずつ見ていきます。スピーカー、パワーアンプ、ミキサーの順に読むと、信号の流れを追えます。読み終えたら、第1章の確認問題で確かめられます。